区切るということ
皆さんは土と岩の区別は付くでしょうか。
「当たり前だ。土は軟らかいし、岩は硬い」
その通りです。土はスコップやツルハシを使って人力で掘ることもできますが、岩だとそうはいきません。
もう少し詳しい人、地質調査技士の資格などを持っていて、地盤に詳しい人なら「岩は地盤と一体になっているものだ。硬くっても、多少大きくても、地盤から離れるものなら、それは石だ」ということを御存知かもしれません。いずれにしろ、これは土、これは岩、と見せられたら大抵の場合区別は付くでしょう。
しかし実際には難しいことも多いのです。西日本の中央部、瀬戸内海の周辺に広く分布する花崗岩という岩があります。この岩は長い間雨風にされされると「マサ土」と呼ばれる土砂状に風化してしまいます。マサ土はきっと土ですね。水を含んで練り返すとネトネトになってしまいます。その軟らかさは下手をすると砂浜の砂よりタチが悪いくらいです。
ところがボーリングといって機械を使って試し掘りをすると、十メートルくらいの深度ではカチンカチンの岩盤になってしまいます。スコップはもちろん、大ハンマーだって砕けません。では、どこからが岩で、どこまでが土だったのでしょう?マサ土と花崗岩は一連のものですから、なかなかその境目は決められるものではありません。でも、それが決まらないと、この山を工事するときに何メートルから岩を砕くための重機を用意すればよいのかわかりませんね。だから工事の計画も立てられないのです。
土と岩を区切ること。これは地質調査技士の基本であり、かつその仕事の中で大きな比重を占める部分です。「ここまでは土、ここからは岩」と名前を付けて、区切ること。私はこの作業こそが、陰陽師たちが行っていた「呪」をかけるということだと考えています。
カテゴリー:地質調査と陰陽道
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